NPOが結ぶ(4)北海道新聞
地域の価値 高めたい
「先にドロノキを植えて日光をさえぎり、雑草を抑えてから植えればミズナラはよく育つんです」専門家の解説に、釧路管内浜中町の酪農家やNPO職員らが聞き入る。
一行は、草地開発で減った浜中の森の再生を目指す「緑の回廊」推進委員会のメンバーだ。酪農家に植樹を呼びかけ、NPO法人霧多布湿原トラストなどとの「協働」で植樹技術の向上や賛同者の拡大を模索する。
「緑の回廊」は、タンチョウが舞い、魚が泳ぐ自然環境の中で「安全、安心、高品質」の生乳を生産し、消費者の信頼を得たいという酪農家の情熱から生まれた運動だ。この努力を消費者に伝え、浜中産の生乳の価値を高めたい。同トラスト職員の河原淳さん(48)はそう構想する。
ラムサール条約登録湿地の霧多布湿原をはじめ魅力的な自然と、その中で営まれる観光業、農漁業、それを担う人々。同トラストはそれらの地域の「資源」を結びつけて「価値」を高め、全国に発信してマチの未来を切り開こうとしている。
発足から22年、今は専従職員8人の態勢だ。うち本州出身は5人。一方、役員の大半は地元の住民だ。遠くから「風」を運ぶ人と、土着の人との連携がネットワークと事業の幅を広げるのだ。
三膳時子理事長(50)は語る。「湿原のきれいな部分を守りたいと運動を始めたが、それ以上に人と人とを結ぶ仕事が大きくなった。トラストは、地域の結び役でありたい」(おわり)
(原文:北海道新聞厚岸支局 中川 大介 文編集:霧多布湿原トラスト 松井 美奈)
「民」の肉声 「官」動かす
「自然と共生」広がる輪
「豊かさ」実感を後押し